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先輩薬剤師のメモ帳 保存版
小児処方のコツ① 外用剤「“ステロイド外用薬”の服薬指導」杉原桂先生
当記事は当サイトへ2020年9月16日に掲載した記事の再掲載です。
小児処方は少し特別。一人ひとりの投与量設定をはじめ、本人だけでなくご家族の意向も踏まえた医師の処方意図を汲み、服薬指導する必要があります。“みんな知ってるのかな、自分だけが知らないのかも…”と悩むこと、ありませんか?
このシリーズでは小児科専門医監修のもと、「先輩薬剤師が書き込んだメモ帳」からこれまで聞きたかったけれど聞けなかった疑問に答えます。第1回のテーマは「外用剤」。小児の皮膚トラブルへの対応や、医師の処方意図を汲んだ服薬指導のコツをお伝えします。
薬局に掲示できる「保存版」PDFを記事末尾に掲載しました。ご活用ください。
石けんは、皮膚トラブルのもと?
小児(乳幼児含む)の皮膚は薄く敏感でバリア機能が不十分なため、さまざまな刺激に対するトラブルが起きやすいもの。そんなデリケートな小児の皮膚トラブルですが、ケアをしっかり行うことで防ぐことができます。
プロペト®は塗り方が大切
乳幼児の皮膚は薄いぶん、乾燥しやすい特徴があります。空気が乾燥する冬場はもちろん、エアコンなどの影響により夏場も乾燥しがちです。乾燥しやすい乳幼児の肌を守るため使用されるのが、プロペト®。
プロペト®は肌からの水分蒸発を抑え、衣類などの摩擦による刺激からも皮膚を保護することからスキンケア、かぶれ、湿疹に用いられます。
[使用方法]
- 20 ~30回よく塗り込んで、余ったらきれいに拭き取りましょう
⇒べたつきが残る場合があるので、少量を広く伸ばし塗る - 夜中、気づかないうちに掻いてしまう場合には、プロペト®にプラスモイストを貼ってみる
⇒夜中にむれず、寝ながら掻いてしまうこともなくなります
プロペト®は油脂成分が強く水分の補給がしづらいため、保湿のときには“ヒルドイド®”などを用いるようにしましょう!
ステロイド外用薬の5段階分類
ステロイド外用薬は、下記の表のように強いものから順にI群~V群の5段階に分類されています。
※のついている薬は他の群に分類される場合があります。
- 小児の場合は、mild(IV群)以下から始める
- 使用:乳児2ヶ月、幼児6ヶ月、アトピー3ヶ月
ステロイド外用薬の使用例
記事末尾のPDFを印刷し、服薬指導の際にご活用ください。
- ステロイド外用剤は途中で勝手にやめない
- 特に夏や冬は重症度でプロペト®とヒルドイド®を使い分ける
*ヒルドイド®クリームは油性と水性どちらの性質もある※
⇒滲出液を患部に再吸収させてしまうため、傷口には注意*ヒルドイド®フォームは水性なので広範囲に塗り広げやすい※油中水型:ヒルドイド®ソフト軟膏(ヘパリン類似物質油性クリーム)
水中油型:ヒルドイド®クリーム
ステロイドは怖がりすぎないで
親御さんの中には「ステロイドは怖い」というイメージが先行していらっしゃる方がいます。
[説明例]
ステロイドは「道具」です。例えば包丁と同じで、誤った使い方をすれば傷ついてしまいますが、正しい使い方をすれば大変役に立つもの。正しい使い方を知りましょう。
お母さんやお父さんへ服薬指導するときのポイント
- 薬の塗り方やスキンケアを口頭だけでなく絵で示したり、説明書などを渡し、実践してもらうようにする
- 何かあったときお母さんが手に入れる情報源の多くはインターネットなので製薬会社名、厚生労働省、学会など情報源を確認しアドバイスする
★お母さん、お父さんの悩みや意見を否定せずにお話を聞き、フィードバックするようにする
- 保存版PDFをご用意しました。薬局などで服薬指導にご活用ください。
(下記画像をクリックするとPDFが開きます)
<杉原先生が出演されているYouTube動画>
コロナ禍における「子どもの心理的影響と対策」について話されています。是非ご覧ください。
当記事は薬ゼミの薬剤師向け季刊誌「THINK CUBE」No.15(2020 AUTUMN)P.30、31へ掲載した記事の一部です。