きっかけは雑談でした。YAKUZEMI PLUSの編集長が、ゆう薬局グループ（京都）の広報担当者との打ち合わせを終えた時、小耳にはさんだインターンシップのお話。「Bリーグチームとのコラボ？　ぜひ取材させてください！」　

「おもしろそう」と興味本位で取材をさせてもらったら、スポーツファーマシストの職能と実情、アスリートと薬剤師の信頼関係、そして薬局の“本気の”地域貢献活動……と、取材班の想像を超えた奥深いテーマがたくさん潜んでいました。

京都ハンナリーズとの合同インターンシップに潜入！

Bリーグ2021-22シーズン終盤、YAKUZEMI PLUS取材班は試合会場で開催されたインターンシップを訪ねました。

当日のプログラムは

①スポーツファーマシストに関する基礎講座
②京都ハンナリーズ元選手とスポーツファーマシストの対談
③アリーナツアー＆記念撮影
④先輩薬剤師とのディスカッションタイム

という盛りだくさんな内容です。

最初にゆう薬局のスポーツファーマシスト　上堀さんから、資格の概要と仕事の内容、プロアスリートである京都ハンナリーズの選手たちとの関わりについて、本音トークも交えてレクチャー。そして元選手　村上直さんをゲストに迎え、選手から見たスポーツファーマシストの存在が語られました。

すると、生命の危機、選手としての危機を救った「命の恩人」という言葉が飛びだして、サポートをした上堀さんは感激。参加者はその様子を見て、薬剤師の仕事の意義とやりがいに感動……。

興奮冷めやらぬままアリーナへ移動した一同は、普段は入れないコートに足を踏み入れ、写真を撮って、特別な時間を満喫。

楽しんでいる皆さんに感想をインタビューすると、返ってきたのは「選手視点の話も聞けて、スポーツファーマシストの仕事の大切さがよくわかった」「自分も資格をとると決めた」などと、前向きで頼もしい答えばかり。
スポーツファーマシストの仕事の価値を自分の将来像と重ね、新しい価値観として落とし込んでいる薬学生さんたちに、取材班も感動をもらったのでした。

店を飛びだし進化するゆう薬局の地域貢献

ゆう薬局の京都ハンナリーズサポートは、言い換えれば「京都の薬局による、京都のＢリーグチームへのサポート体制」。つまり、薬局による地域貢献の一環です。京都府でNo.1の店舗数を展開するゆう薬局は、約70年前の創業以来、京都の人々の健康を支える薬局としてさまざまな活動を行ってきました。

南北に長い京都府では、都市化した南部と、高齢化し過疎化が進む北部との格差が課題です。京都に本気で寄り添ってきたゆう薬局は、早くから、医療資源が乏しい地域の患者さんのために、在宅医療に携わっています。全店舗で在宅患者訪問薬剤管理指導を届け出て、90％以上の店舗で実際に在宅医療を受け入れ、2020年にはその拠点となる在宅支援センターも設立しました。

講演活動や地域のお祭りなどへの参加など各地域の方との交流も盛んで、定期的な地域活動イベントも積極的に開催しています。そして、地域活動は京都マラソンの協賛やボランティア、そしてスポーツチームのサポートにも発展。薬局によるプロスポーツチームへのサポート体制は全国でもまれで、この取り組みを「まずは薬学生さんに知ってもらおう」と、今回の京都ハンナリーズとの合同インターンシップが行われました。

インターンシップでは、先輩薬剤師とのディスカッションタイムでこのような会社の取り組みがシェアされ、参加者たちは「本当に地域密着していなければできない」と、驚きの声を上げていました。

薬学生さんに伝えたい 新しい地域貢献のあり方

実は冒頭の「取材させてください！」は昨年12月の企画で、試合観戦が大きな見どころでした。新型コロナウイルス感染症の拡大状況を考慮して延期され、5月にリベンジ開催！　……のはずが、前日の夜、関係者の新型コロナウイルス感染症陽性反応により、試合の中止が決定。
「それでも、1人でも来てくれるならやろう」と、プログラムを直前まで調整して決行したゆう薬局と京都ハンナリーズの心意気に応えるように、来場した参加者は楽しみながら多くを吸収していて、インターンシップは成功……！　取材班はそこにもドラマを見ました。

資格をとっても活動の場がないスポーツファーマシストが多い実情の中、プロチームからの信頼を得てサポート体制を築き、かつ地域に貢献するお手本のようなこの活動を、たくさんの薬学生さんに知ってもらいたい。そんな想いを込めて、追加取材もつめこんだ「薬学生によるインターンシップを通じて　ゆう薬局を再発見する」を制作しました。

デジタル版も提供しています。ぜひご覧ください！