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これから在宅医療を始めるすべての方に伝えたい

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これから在宅医療を始めるすべての方に伝えたい メッセージ&エピソード

菊池 幸助

写真

薬を通して、
患者さんに届けることができるもの

菊池 幸助
日出調剤薬局(大分県速見郡)

薬学を通して必要とされることの喜び

昨今、薬剤師の業務が対物業務から対人業務へ移行することが求められる中、在宅業務はその象徴といえるものです。在宅医療に関わることになった私は、物から人への業務転換にあらためて医療人としてのやりがいと責任を感じることになりました。
しかし、私が在宅医療に惹かれていった理由はこれだけではありません。
在宅医療ではそれぞれのケースで違った対応を迫られます。なぜなら、人々の生活は一様ではなく、人生観も一様ではないからです。そういったさまざまな要因を考慮し薬剤師として薬学的判断を行い介入していく中で、無機質な薬という物を薬剤師の私という存在を通すことで、患者さんの生活や人生観に対して、薬学的判断とともに何かしらの自分の思いを付加し薬を届けることができ、そしてその行為が患者さんの人生で必要とされていることを実感できること、それが最大の喜びであり理由です。この喜びがあるからこそ、さらに薬学的知識を深めたいという知識欲が高まっていくのです。端から見ると努力しているようなイメージで見られることがありますが、そのような意識は全くありません。なぜなら、学んでいる最中にも現場を意識すると、その喜びが同時に湧き上がってくるからです。

意志をもって判断を保留することもある

そんな私も、喜びだけでなく、不安でいっぱいになり押しつぶされそうなことが多々ありました。生活を見て、窓口では見れなかったことが見えるようになることで、自分の判断の結果が否応なく強烈なレスポンスで返ってくるのです。判断を誤れば、患者さん本人だけでなく家族を巻き込むこともあります。また判断を恐れ保留した場合でも、同様です。判断を保留するということも決断であり、その重圧から逃げるのではなく意志を持って保留を決断しなければなりません。そんな決断の連続だったのです。

「薬を作ってくれるだけの人だと思っていました」

そんな中、とある患者さんへの介入を契機に、自信を持つことができ、またその自信を裏づけるよう日々精進しようと吹っ切れた症例を経験しました。

患者さんは90歳代男性で、慢性気管支炎等があり誤嚥性肺炎を繰り返していました。失語症や麻痺もあり、寝たきりの状態で要介護4。主な介護者は妻でしたが、ご高齢で、心疾患などで要介護2の状態でした。在宅医等も当地区には当時不在である状況で、本来は入院が必要なケースでしたが、自宅での療養を希望されていました。そのため介護職の方となんとか通院し、訪問看護師も手厚く介入していました。
しかしある時、誤嚥性肺炎と診断され繰り返し受診する中で、処方薬が予定日数より早くなくなるということが続きました。訪問看護師に聞くと、「お薬のカレンダーにはセットして確認しているが、しっかり飲めているようだが」との回答。しかし何かおかしい…そう思った私はすぐに介入を決断しました。
初訪問では、薬の管理などは訪問看護師の言うとおりカレンダーに綺麗にセットされており、服薬を間違った形跡なども確認できませんでした。腑に落ちない私は、遅くにしか帰宅しない娘さんを、利用者さんの許可を得て待ち話を伺いました。するとやはり、妻のベットの下などから飲んでいない薬を発見することがあり、それは飲ませないといけないとの責任感から介護者が隠すが、そうしている間に実際以上に飲んでいることになっている現状があるとの話を伺うことができました。
介護者のこうしたとり繕いをなくし継続的に正しい評価で介入するには信頼関係の構築が第一と考え、自分の思いを真っ直ぐに伝え続けました。それで得た信頼が、その後の介入に大きく活きることとなりました。結果、全容が介護者の直接の情報から明らかになり、実際には拒薬や介護力の不足により服薬が守られていなかったのです。

状態も良くない中ではありましたが、本来毎食後に服用する薬を1回にしてそれをしっかり服用してもらうという決断を行い、主治医に進言を行いました。また多職種にも協力を要請し服薬を徹底した結果、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)などの数値も改善。食事をすると薬を飲まないといけないとの思いから食事量も減っていたのですが、それがなくなり食事量も増加し、立位が取れるまで改善したのです。その時ご家族からこう声をかけていただきました。「私たちは薬剤師さんのことを薬を作ってくれるだけの人と思っていました。当然先生が積極的に出向いてくれなければ存在を知らず、父は命がなかったと思います。薬剤師さんにも命を救っていただけるのですね。是非知らない他の人にも積極的に伺ってあげてください」。今まで感じたことのない本当の仕事のやりがいをこの瞬間に感じ、身体が熱くなったことをよく覚えています。

薬を通して患者さんの人生を豊かにする

皆さんも今後薬剤師として活躍されます。そして殆どの方が人生の一番多くの時間を薬剤師としての業務に割くのではないでしょうか。私は一番多く時間を割くものの中に喜びを感じられることにすごく幸せを感じています。
皆さんも皆さんなりの薬剤師の中の幸せを見つけて欲しい、そう思います。対人業務を行うこと、それは薬剤師としては薬を通してその人の人生を最大限豊かにすることに他なりません。皆さんも是非、誰かの人生の一薬剤師になってください。

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