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薬物治療の個別最適化

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薬物治療の個別最適化

[入所利用者]在宅復帰にあたって服薬管理の課題を解決した症例-介護老人保健施設かがやき

薬物治療の個別最適化

本シリーズでは、薬物治療の個別最適化を行った事例を紹介していきます。

[入所利用者]在宅復帰にあたって服薬管理の課題を解決した症例-介護老人保健施設かがやき

今回の症例

80歳代・男性、要介護3の入所利用者さんは、自宅で訪問看護・介護を受ける予定になっていました。入所中は職員の服薬支援が受けられるため起床時と毎食後の服薬が可能でしたが、退所後は本人・家族(妻)が服薬管理を行うため、起床時や毎食後の服薬管理に不安があると本人・家族から聴き取りました。

入所時処方)

Rp 1アレンドロン酸錠35 mg 1回1錠(1日1錠)
 1日1回 起床時 毎月曜日
Rp 2クロピドグレル錠75 mg 1回1錠(1日1錠)
ランソプラゾール口腔内崩壊錠15 mg 1回1錠(1日1錠)
メマンチン塩酸塩錠10 mg 1回1錠(1日1錠)
エナラプリルマレイン酸錠25 mg 1回2錠(1日2錠)
 1日1回 朝食後
Rp 3酸化マグネシウム錠330 mg 1回1錠(1日3錠)
アンブロキソール塩酸塩錠15 mg 1回1錠(1日3錠)
 1日3回 朝昼夕食後

薬剤師が解決したプロブレム

#1 服薬回数が多い(1日4回)
#2 起床時の服薬が困難

退所にあたって自身と家族に服薬管理上の課題があるため、退所までの間に、服薬回数をできる限り減らして服薬の負担を軽減する服薬簡素化を検討しました。

起床時の服薬は後述のとおり、1日3回の服薬は1日2回昼夕食後への変更を提案し採用されました。日常のバイタルサイン測定に加え排便回数や便の硬さの変動、不具合事象の発現に注意し、変更後の経過を約3週間にわたり観察し、処方変更後に体調等に変わりがなく退所時処方として確定しました。

起床時のビスホスホネート製剤の服薬は、座位保持など複数の職員の支援が必要で、退所後の服薬は困難ではないかと考えられたため、入所中の介護老人保健施設(老健)の医師には、退所後のビスホスホネート製剤はアレンドロン酸ナトリウム水和物注射液を4週間に1回、またはゾレドロン酸水和物注射液を1年に1回の投与で継続していただくよう、かかりつけ医に依頼してはどうかと提案しました。

退所時処方) ※青字は薬剤師の処方提案による変更箇所

Rp 1クロピドグレル錠75 mg 1回1錠(1日1錠)
ランソプラゾール口腔内崩壊錠15 mg 1回1錠(1日1錠)
メマンチン塩酸塩錠10 mg 1回1錠(1日1錠)
エナラプリルマレイン酸錠25 mg 1回2錠(1日2錠)
アンブロキソール塩酸塩徐放錠45 mg 1回1錠(1日1錠)
 1日1回 昼食後
Rp 2酸化マグネシウム錠500 mg 1回1錠(1日2錠)
 1日2回 昼夕食後

今回の薬歴

#1 服薬回数が多い(1日4回)
  • S 退所後居宅での服薬管理に不安がある。
  • O 現在、服薬には職員の支援が欠かせない状態。居宅療養に向けて起床時薬剤の剤形変更検討。服薬回数を減らし服薬時間を調整する。
  • A ビスホスホネート製剤は退所後を注射薬に変更する。訪問看護・介護が介入可能な昼間時間に服薬時間を移動する。
  • P 退所に向けた処方(退所時処方)を提案。

#2 起床時の服薬が困難

  • S 居宅での起床時の服薬は困難。
  • O 座位保持など服薬支援が必要で本人と妻だけでは服薬が難しい。
  • A 腎機能障害がないことからかかりつけ医に注射薬への変更を提案する。
  • P 診療情報提供書にて依頼するよう医師に提案。

実務実習生の疑問に答える

Q1 服薬簡素化って何ですか?

高齢者施設や居宅においては、高齢者自身の服薬管理能力が低下している場合、介護者による服薬支援が必要になります。その際、服薬回数が多いと、確実に服薬支援することが難しくなるため、一般社団法人日本老年薬学会により「高齢者施設の服薬簡素化提言」1)がまとめられました。

この提言では、服薬回数を減らすことにより患者にも多くのメリットがあり、服薬を昼1回にまとめられる場合は積極的に検討することが推奨されています。その方法として、投与回数の調整、持続性製剤への変更、服薬タイミングの見直しが可能な薬剤を中心に検討します。本症例では、アンブロキソールは徐放錠へ変更することで1日1回とし、他の1日1回の薬剤とともに昼に服薬タイミングを変更しました。

ただし、昼にまとめることが不適切な場合(用法、副作用発現、服薬アドヒアランス等)もあるため、一律に昼にまとめるのではなく、個々の患者について、患者本人や家族、他職種とも連携しながら検討することが重要です。

  • ●参考
  • 1)一般社団法人日本老年薬学会:高齢者施設の服薬簡素化提言 第1版,2024.
  • 根橋 一夫(ねはし かずお)
    介護老人保健施設かがやき(埼玉県狭山市)。病院(医療法人社団清心会至聖病院・薬剤部)勤務の傍ら併設の老健の常勤薬剤師と共に他の職員の協力を得つつ老健の医薬品の適正使用と医療安全管理に奮闘中。
    施設紹介はこちら
    https://rouken-kagayaki.jp
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