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先輩薬剤師のメモ帳 保存版

小児処方のコツ② 感染対策「感染症が増える時期の服薬指導」
杉原桂先生

先輩薬剤師のメモ帳 保存版

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴い、私たちの生活は大きく変わりました。日常的にマスクを着用するようになり、あらゆる場所でアルコール消毒を実施するようになりました。小児は小さい大人ではないため、私たちと同じように感染対策をすることができません。では、小児の感染対策はどのように実施したらいいのでしょうか。

このシリーズでは小児科専門医監修のもと、「先輩薬剤師が書き込んだメモ帳」からこれまで聞きたかったけれど聞けなかった疑問に答えます。
第1回 小児処方のコツ① 外用剤「“ステロイド外用薬”の服薬指導」杉原桂先生

第2回のテーマは「感染対策」。小児の手指消毒やこれから感染症が増える時期の服薬指導のコツをお伝えします。

薬局に掲示できる「保存版」PDFを記事末尾に掲載しました。ご活用ください。

医療法人社団 緑風会 ユアクリニック秋葉原 理事長 杉原桂先生

誤った情報への「感染」に注意

私たちの生活は今年、大きく変わりました。外出自粛などもあり、「感染症は怖い」といった話をお子さんにされる親御さんもいらっしゃるのではないかと考えます。
特に、お母さんの不安はお子さんに伝わりやすいものです。お母さんたちの利用頻度の高いSNSなどインターネットには、さまざまな情報があります。誤った情報も多くあり、正誤を見極めることが大切です。少なくとも厚生労働省のHPには正しく有益な情報が掲載されていますので参考にするよう案内してください。

はちみつの処方

はちみつはスーパーなどで購入することができますが、実は「第3類医薬品」なんです。小児のかぜの引き始めの「咳」に効果的といわれています。特に咳をしたその時に飲ませることができます。中毒にもならず、夜間にも飲ませることができます。アスベリンやメジコンといった薬で咳を止めると、痰がひっかかってかえって苦しくなってしまうこともあります。はちみつは中毒にもならず、子どもが安心して飲むことができるんです。

1歳未満の乳児には使用禁止!

薬局、ドラッグストアで処方箋なしで購入することができるので、販売するときには幼児が使用しないように親御さんからお話をしっかり聞いて判断しましょう!

先輩薬剤師のメモ帳 保存版

手指衛生

石鹸と流水による手洗い

目に見える汚れがあるとき、食事の前やトイレの後、外出先からの帰宅時は石けんと流水による手洗いの実施を勧める

  • しっかりと石けんを泡立てると手のしわなど細部まで石けん液がいきわたる
  • 細菌の除去が適切に行われるひとつの目安である「30秒」で洗う

先輩薬剤師のメモ帳 保存版

Ⅰ.例えば「どんぐりころころ」や「ぞうさん」の歌を2回歌うと「30秒」といわれます。子どもに指導する際など、その子が好きな歌で30秒の目安を作るのもよいでしょう。

Ⅱ.小さなお子さんに「触らないで」と伝えるのは難しいです。多少、手を洗わずに何かを食べたりしても感染の可能性は低いので、「過敏になりすぎなくても大丈夫ですよ!」と伝えられるようにしましょう!

手洗いは実施が必要な場面とポイントを押さえ、「しすぎない」ことを伝えることが大切です。

擦式アルコール手指消毒薬

  • 目に見える汚れがないときに実施を勧める
  • 子どもの皮膚の厚みは大人の皮膚の半分ほどしかないため、外部からの影響を受けやすい(大人:2~3㎜、子ども1~2㎜)
  • 黄色ブドウ球菌といった常在菌も殺してしまうため、肌荒れやかぶれてしまう子もいる

エタノール

  • 一般的にいわれる「アルコール消毒」は、エタノールを指す
  • ほとんどすべての微生物に効果がある
  • 速乾性が高い
  • アルコール過敏症の方には使用できない

ベンザルコニウム

  • 一般的な細菌に効果があるが、ウイルスには効果が薄いといわれている
  • エタノールと比較し、速乾性が弱いため、よく擦り込む必要がある
  • アルコール過敏症の方にも使用できる

アルコール過敏症や乳幼児には、ベンザルコニウム製品やジェル製品をお勧めしましょう。

先輩薬剤師のメモ帳 保存版

マスク

小児のマスクの使用については、日本小児科学会(2歳以下は不要)、WHO(5歳以下は不要)と定義されています。マスクをしないと不安に思う親御さんはたくさんいらっしゃいます。
子どもは息苦しさや暑さを自ら伝えることができず、自然とマスクをとってしまうことがあります。着け直そうとすると、かえって負担になって体調を悪くしてしまうこともあります。
そんな時は「気にしなくても大丈夫ですよ!マスクを安心材料にしてほしいと思います」と伝えるようにしましょう。

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手を拭くタオルに要注意!?

手洗い後の手を拭くタオルにも注意が必要です。洗面所では約5割、トイレでは約8割が「3日以上」同じタオルを使い続けているという実態調査の結果が出ています。
洗面所で3日間使用し、1日室温で放置し乾燥させたタオルから細菌が検出されました。さらにそのタオルで手を拭いたところ、タオルから細菌が移っていることもわかりました。

いったん湿ったタオルは長時間放置すると細菌が増殖し、乾燥させた後でも細菌が残存している可能性があります。一見汚れていないように見えても、タオルは「湿ったら取り換える」習慣をつけるようにあわせて伝えましょう。

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保存版PDFをご用意しました。薬局などで服薬指導にご活用ください。
(下記画像をクリックするとPDFが開きます)

先輩薬剤師のメモ帳 保存版

<杉原先生が出演されているYouTube動画>
コロナ禍における「子どもの心理的影響と対策」について話されています。是非ご覧ください。

当記事は薬ゼミの薬剤師向け季刊誌「THINK CUBE」No.16(2020 WINTER)P.28、29へ掲載したものです。
季刊誌「THINK CUBE」は、当サイトへ無料会員登録いただいた薬剤師の皆さまへ無料でお届けします。ご登録はこちらから

第3回は「抗菌剤(抗生物質など)」として、薬剤耐性などについて公開予定です。

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